はじめに
2020年4月23日、新型コロナウイルスのため亡くなった女優の岡江久美子さん。報道によると同月3日に発熱後、自宅で様子見をしていたところ、同月6日に容態が急変し緊急入院。PCR検査の結果、新型コロナウイルスが陽性と判断され、懸命な治療が続けられていましたが、同月23日午前5時20分に息を引き取りました。63歳という若さでした。昨年末から初期の乳がんが発見されたため放射線治療を受けていたとういことで、免疫力の低下から新型コロナウイルスにより重症化につながったとみられています。
岡江さんのように、発熱しながら自宅待機をしている間に容態が急変して亡くなるケースが相次いでおり、埼玉県では感染後に症状が軽かったとして自宅待機をしていた50代の男性が死亡。亡くなる前日に保健所との電話で体調不良を訴えていたといいます。
自宅待機で様子見をしている間、実は悪化しているにもかかわらず、息苦しさや倦怠感に体は徐々に慣れてしまい、気づいた時には息が出来ないという状態になるようです。
少しでもその状態の変化を見逃さない事が大事ですが、体温計以外の機械を使って家でとれるデータはないのでしょうか？
パルスオキシメーターとは？
指先にクリップのような機械をつけて、血液の中の酸素の濃度を測る「パルスオキシメーター」という機械があります。
パルスオキシメーター(Pulse Oximeter)とは・・・
動脈血酸素飽和度(SpO2)と脈拍数を採決することなく、指先などに光をあてることによって測定する装置。主に病院の手術室や集中治療室、内科、呼吸器科、循環器科の外来・病棟などで幅広く使用されています。
血液の酸素供給が正常に行われているかどうかをリアルタイムで測定できる医療機器で、生命維持のために最低限必要な酸素供給力が失われないように連続的にモニターする目的で作られたものです。
現在主流となっている指先で測定するパルスオキシメーターは、コニカミノルタにより1977年に世界に先駆けて開発された以降、現在のような小型・軽量化され、測定・計算・表示一体型になっているようです。
パルスオキシメーターで何が測れるの？
パルスオキシメーターで動脈血酸素濃度が測れます。
＝コニカミノルタのホームページより抜粋～
パルスオキシメーターで測るのは「動脈血酸素濃度（と脈拍数）。動脈（心臓から運ばれる血液）に含まれる酸素（O₂)の飽和度(Saturation:サチュレーション）を皮膚を通して(Percutaneous)測っていることから、その測定値をSpO₂（エスピーオーツー）と呼びます。なお、採血などの方法によって動脈血の酸素飽和度を測定したものをSpO₂区別するためSaO₂（エスオーツー）と呼ばれています。
それでは「動脈血酸素飽和度」を測ると何が分かるのでしょうか？
酸素の飽和度とは？
血液中の酸素の大半は赤血球の中にあるヘモグロビンによって運ばれます。飽和とは最大限の状態を指し、酸素飽和度とはヘモグロビンが運べる最高の状況に対し、実際に肺に酸素を血液中にどれだけ体に運べるかを表します。
従って、健康の方なら99％近く、肺炎になり肺のダメージ箇所が増えるとそれだけ肺から血液に酸素が移せなくなるので酸素飽和度が下がり（90％未満）、パルスオキシメーターの重症度の指標として肺炎重症化の可能性を見つける補助ツールとなっています。
コロナ対策には有効？
パルスオキシメーターのパイオニアであるコニカミノルタによると、パルスオキシメーターの数値によって、新型コロナウイルスの感染判断はできないが、病状の重症度の判断には有効としているようです。
また、日本呼吸器学会によると、パルスオキシメーターの操作は非常に簡単である一方、測定値がどのような体の状態を意味するかを判断するのは容易ではないようです。
～日本呼吸器学会のホームページより抜粋～
一般的に96%~99%が標準値とされ、90%以下の場合は十分な酸素を全身の臓器に送れなくなった状態（呼吸不全）になっている可能性があるため、適切な対応が必要です。慢性に肺や心臓の病気のある患者さんでは、息苦しさや喘鳴などの症状が強くなり、SpO₂が普段の値から3~4%低下した場合はかかりつけ医に連絡するか受診してください。
操作自体は簡単で、家庭での購入も可能ですが、測定値のもつ意味はその人の状態やかかっている病気によっても異なるため、測定値の判断は主治医など医療専門の方の指導を仰ぐことをおすすめします。
最近では家庭用商品も増えており、新型コロナウイルスに限らずに自宅での健康管理のために購入を考えている方もいらっしゃると思います。自宅で身体の状態を把握するためにパルスオキシメーターは非常に役立ちますが、医療機器ですので、個人的に購入される方は自分に合った商品を選び、正しく使用するようにしましょう。